学校放送・ICT活用! 先生応援サイト

放送教育ネットワーク

学習意欲を高めるテレビ利用 埼玉県さいたま市立常盤北小学校校長 溝口 正己
  1 子どもたちはテレビでの勉強が大好き
  (1) 子どもが期待する番組
   「テレビはどんなところが楽しいですか」と質問したことがある。テレビを視聴しはじめた頃は、「出てくる人が面白い」と多くの子どもが答えた。しかし、3か月ほどたつと、「テレビは教室ではできないことをやってくれる」「気がつかなかったことがわかる」などと変わる。そして、「だからテレビで勉強するのが好き」と言う。
 また、低学年では「出てくる絵や人が面白い」と多くの子どもが反応するのにたいし、高学年になると「気づかないことを教えてくれる」「出来ないことをやってくれるからテレビは楽しい」と知的面での反応が多くなる。学年が上がるほど、子どもたちはテレビに対して新しいことに気づいたり、知らないことが分かるときの喜びを期待している。
(2) 子どもをつき動かした『みどりの地球』
   昭和50年代に『みどりの地球』という番組があった。時代を読んだ番組であった。小学校高学年と中学生を対象にした総合的な環境番組である。自然と人とのかかわりや地球環境の問題などを扱った。当時、教科書では、公害の問題などが中心に扱われていた。その中で、『みどりの地球』は酸性雨や地球の砂漠化など、地球的規模での環境問題を積極的に取り上げていた。まだ目新しい問題であった。
 オゾン層の破壊や森林の減少など、その内容は時代を先取りするものであった。かけがえのない地球を大切にし、自然と共に人間がどのように生きていくのかを示唆した『みどりの地球』は、総合的な学習の先取りでもあった。番組制作者の意気込みを感じた。
 教科書にない内容は、難しく扱いにくいと言われることもあった。しかし、番組の先導的な志向に引かれ、『みどりの地球』を積極的に学習に取り入れる教師も増えてきた。「自分たちの気がつかない所で大変な事故が起こっている」「あんな方法で調べられる」など、番組視聴後の子どもたちの反応は敏感であった。子どもはグリーンマーク運動に参加したり、家庭での洗剤の使用を制限したり、空き缶やゴミの処理を工夫したり……、きわめて活動的であった。環境問題に対する意識も高まってきた。
 
  2 学校放送番組の力
  (1) 科学的な考え方を育てる
   昔、4年の理科番組に「ジャガイモの育ち方」を扱ったシリーズがあった。その中の「できはじめたいも」の視聴後、子どもたちは「この前のテレビでは、子いもにはでんぷんがあるのかなと疑問に思ったけれど、今日のテレビを見たら子いもにもでんぷんがあることがわかった」と反応。その後、「どこから子いもを育てるでんぷんがくるのだろうか。ジャガイモのたねいもをとっても子いもは育つのだろうか」と疑問を持ち、「学級園のジャガイモの子いもにも、でんぷんがあるか調べてみたい」「たねいもをとって、子いもが育つのかためしてみた」と、子どもたちは実験観察に取りかかった。疑問を持ち、その解決のための仮説を立て、実験観察に取りかかる子どもたちに、思考の深まりが見られた。
 日を経て、たねいものでんぷんが子いもに使われたのではないことを知った子どもたちは「どこからでんぷんが来るのだろうか」と更に疑問を深めながら、次の番組「葉とでんぷん」を視聴した。その後、「本当に葉にでんぷんがあるのかどうかを確かめたい」と課題を持った。

 7月、学級園の日なたのいもと日かげのいもの出来具合を比べた。日なたの方が大きくて数も多い。違いを知ったM男は「僕たちは、太陽を食べているのだ」と言った。ジャガイモのでんぷんは、ついに太陽までたどりつくことになった。
 
次のページへ
ページトップへ