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無理のない全国大会で着実に成果を

岩手県立大学ソフトウェア情報学部教授 鈴木克明
(大会総括講師)

第55回放送教育研究会全国大会が無事に終了した。今、今年の大会を振り返って思うことは、「無理せずに着実に進むことの大切さ」である。昨年の埼玉大会を踏襲した形で、今年の東京大会は準備された。しかし、あまりにも準備期間が短すぎた。地上デジタル放送が初めて導入され、先駆的な試みを開始する一方で、全国大会そのものは、今の全放連の実力にふさわしい規模で、絞り込んでの実施となった。「無事に終了した」理由の大きなことは、「身の丈にあわせて無理しなかったこと」だと思う。

東京での開催といっても、会場は分散した。しかし、授業公開校を絞り込んだために、校種ごとにどこへ行けばよいかを迷うことはなかった。2日目の全体会も客席数を埋めるのに苦労をするような大きな入れ物を避けたことが功を奏して、研究会らしい構成でじっくりとラインアップが組めた。「多くの参会者を得て…」と堂々と言え
なくても、最後まで真剣なまなざしが会場に張り詰めた空気をもたらしていた。それでよい。真剣な少数派を失ってしまえば、放送教育は、年に一度だけの打ち上げ花火のみのイベントになってしまうから。

昨年度と今年度の統括講師を経験して、放送教育はまだまだ「しぶといぞ」と思う(そう思いたい)。全放連のスタンスも、子どもの心を揺さぶる番組を教師の解釈抜きにそのまま活用していこうとする「伝統的な放送教育」と、教育メディアの一つとして位置づけて映像のモデル機能や資料性、あるいは共有体験としての番組視聴から広がる交流活動へと展開していく「新しい放送教育」を使い分けて、両方を研究しようという方向が明らかになってきた。研究会の持ち方も、これからの情報社会にふさわしい形を模索して、参観者の主体的な参画・討議を可能にする「ワークショップ形式」が定着した。全放連の歴史と強みをしっかりと踏まえて、今後も着実に成果を重ねていく工夫がさらに求められていると思う。

全国大会の授業・保育、公開校・園での研究には、最低2年が必要だ。毎年開催している全国大会と、2年間の準備期間確保の折り合いをどのようにつけていくか。今後の課題として最も大きいものだと思う。同じところで毎年全国大会をやり続けていては、この問題は解消しないだろう。地方で開催したいという思いがあるのならば、それを大切にしたいものだ。全国大会の会場校での研究成果、あるいは、先進的な教師の授業事例を、どのような形で共有していくことができるか。全国大会での主体的な参画・討議を是非日常的に展開できるような仕組みを実現しなければならない。見た目の豪華絢爛さではなく、日常的に着実な蓄積の中に、放送教育の息の長い成長を見ることができたらうれしいと思う。

放送教育実践を拡大していくこと。それは、まず、身近な実践を確実なものにしてからでも決して遅くはない。着実な成果を上げることが最も有効な宣伝効果をもたらす。良い商品は必ずいつか売れる。そう信じて商品を磨くことが今肝要だ、との思いを新たにした大会であった。関係諸氏の献身的な努力に感謝したい。

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