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メディアリテラシーと進路観・職業観の育成

『あしたをつかめ~平成若者仕事図鑑~』を利用して

東京都昭和第一学園高等学校教諭 高倉 誠

1 「メディアリテラシーと進路観・職業観の育成」について発表(前半)


●メディアリテラシーとの出会いについて
藤川先生の授業づくりネットワークや生徒と参加した東京都高校放送コンテストでの講習会等を通じて関心がたかまり、昨年度の全国大会で授業公開をした。

●自校での取り組み(メディアリテラシーをどのように取り入れているか)
普通科「総合的な学習の時間」(1年次1単位、2年次2単位)で、5名の教員がTTで展開している。1年次はテレビを軸に2年次には「ジャーナリスム」と名づけて、主に紙メディアを中心にテーマ学習を行って、各学習では必ず生徒が話し合ったり記述したりする作業を組み込んである。この授業に取り組んで3年目となる。

●総合学習「メディアリテラシー」にキャリア教育をとりこんでいった経緯
○取り組むにあたって、まず、自分自身の体験を振り返ると……
サラリーマン家庭で育ったため、親の背中を見ても、仕事そのものへの実感が持てなかった。
→現在の生徒たちは、それ以上ではないか?
「将来、どのような仕事につきたいのかイメージができていなければ、これから進学や就職をするに
あたって、何を重点的に学ばなければならないのかわからない」
→生徒により職業を身近に感じてもらうため、『あしたをつかめ~平成若者仕事図鑑~』を活用。
試験的に生徒に視聴させたところ、生徒の反応がよかった。
→映像メディアを紙メディアへ置き換える作業-ワークシートの作成 
番組分析(じっくり視聴し、内容を整理する)からワークシート作成へ。「映像情報を文字情報で他者に
〈伝える〉訓練」として有効。図書館のメディア・ブースを活用。
○番組視聴『あしたをつかめ~平成若者仕事図鑑~<引越屋>』を視聴(24分間)
視聴しながら、参加者もワークシートに聞き取った情報を記入する作業を体験。

●発表者からの補足説明として
・取り組み始めたばかりなので、作業の進め方など、まだ試行錯誤の段階である。
・作成したワークシートを、全校に配布してHR等で活用するなど、キャリア教育の面で、
もっとこの番組を生かせるよう工夫したい。

●参加者からの質問・意見
視聴方法として、ワークシートが虫食い形式では、キーワードは覚えても番組そのものをきちんと見られないのではないか。じっくり見て感じとることが抜け落ちてしまう。感想など、後から書くようしてはどうか。シーンによっては、巻き戻して見せることも必要なのではないか。中学生と高校生では反応が違う。番組の制作者は細切れにして使われることをどう思うか。

●発表者から
シートを作る部分では、繰り返し見直してその魅力を探るようにしている。シートを活用してもらう部分をもっと研究する必要があり、生徒にも「利用する人に、どう番組を視聴させるか、ワークシートを利用させるか」を考えさせている。生徒の取り組み方に差が出てくることも課題。情報を受け取りきれない生徒もいる。番組制作者は、番組をそのまま見てほしいと思っていると思う。

●番組制作者:熊埜御堂チーフ・プロデューサーから
番組を丁寧にワークシートにしてくれたと感心した。番組を作る時に、このように分解されて使われるとは思っていなかったから、びっくりした。番組の映像は、文字にすると情報量がとても少なくなるものなので、伝えきれない情報はHPにアップしている。番組の形式・フォーマットはほぼ決まっていて、「仕事の内容」「主人公の紹介やこれまでの経緯」「仕事上、悩んでいることやぶつかっているもの」「将来の夢、最後に必ずこの仕事に就くための『なるには』情報(45秒)」を盛り込んでいる。文字では伝わらないもの、等身大の主人公の姿を見せるようにしている。また、仕事を通して生き方の多様性を伝えることができればと思っている。ぜひ、「高校生のキャリア教育」に活用していただきたい。


2 藤川先生からの提案(後半)

メディアリテラシー教育は、次のようなことを考え、更にキャリア教育につながっている。

●メディアリテラシー教育の課題
・「送り手」「受け手」の相互の問題・ネット上の悪意ある人の存在・メディアの商業的側面・メディア機器が体と心に与える影響・一方的に「受け手」であることなど
●メディアリテラシー教育の授業づくり
・キャリア教育を取り入れた「テレビゲーム」授業・ゲーム技術の福祉利用・地域商店街のPR番組制作・風評被害のメディアリテラシー的解決・情報教育と法教育との連携・NHK「ネット社会の道しるべ」「ケータイ社会の落とし穴」・「武士道戦隊 侍ファイブ」と幼児のメディアリテラシー
●授業づくりの観点
・モラルを押しつけではなく「しくみ」の理解・子供が既に身につけているメディアリテラシーの尊重・「送り手」の姿を見せる・目的、課題のためのメディア活用・学校を発信源にすることで得られるメディア関係者の協力・児童生徒の力で「社会を変えられる」ことを前提・メディア操作偏重を避け大人になってから生かせる学習を

→この夏放送された「ケイタイ社会の落とし穴」(藤川先生も番組委員として参加)を視聴。ドラマ部分を見て、「話し合う」ことでメディアリテラシーを高めることが期待できる。

 第1話「ケイタイ電話をやっと手にした中学生」
ストーリー:中学女子、複数。仲よしの友達から突然メールが来なくなった。嫌われてしまったのではないかと悩み、勉強も手につかなくなる。
・ドラマのセリフは実態調査に基づいて作られている。
・メディアを使った子供のコミュニケーション
・中学生の常識と彼らなりの配慮-ケイタイメールの返事はすぐにするのが当たり前。
<視聴を終えて>
話し合いの材料に使うことができる。また、子供たちから生の情報を得ることができる。番組で紹介されたドラマと、実際にそれを見た子供たちの反応・感想には、共感できている部分と食い違っている部分があるはず。教室ではそこに注目するといいのではないか。

第2話「ケイタイ電話で犯罪に巻き込まれた男の子」

ストーリー:ごく普通の中学生男子。見ず知らずの他人から来たメールにうっかり返信してしまい、「登録されたので〇万円送らないと法的処置をとる」といった請求メールがくる。追い討ちをかけるように電話もかかってくる。教室で明るかった生徒が困ってしまい、自室で悩むシーンで暗転。犯人からの声で終了。
・番組の演出として、犯人自身が語りかけてくる手法は斬新なのでは、と自負している。
・気の弱い生徒にとって、誰に相談するのがよいかを考えることも大切。
<視聴を終えて>
ドラマを使って「ケータイ」など新しいメディアに適応するためのメディアリテラシーの育成を考えた場合、教室で、自分ならどうするかなどを「話し合う」ことが大切。答えを出すことが目的ではないし、正解もない。教師が、これが正しいと決め付け押し付けることは勧めない。実際、教育委員会などでは対応しきれない。東京都高等学校の研究会で主催した「ハイテク犯罪」の講演会には、多くの学校が参加した。広くこの問題が認知されていることを改めて実感した。

●参加者からの質問・意見
出演する女子があまりに肌を露出していると、学校によっては見せられない場合もある。全国的には、渋谷的ドレスコードで収録すると、学校で利用できないこともある。校内で携帯電話を使用していたが、実際の学校、特に小・中学校では禁止という方が多いのではないだろうか。少し啓発的になっているような印象がある。ケータイのトラブルは、道徳教育でも考えることが大切である。社会的善悪、「倫理規定」を、ゲームやアニメの企画書を作ることで考えさせることなども効果的ではないだろうか。

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