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放送教育ネットワーク



特殊教育・番組研究ほか

埼玉県立越谷養護学校教諭 栗原 清

1日目(10月28日)
テーマ 番組活用から始める特別支援教育
~小・中学校の先生を支援する『みてハッスル☆きいてハッスル』活用大研究~

1 番組プレゼンテーション  NHK

番組について説明をする杓瀬真実ディレクター
『みてハッスル☆きいてハッスル』の番組は、始まってからまだ2年目です。養護学校や障害児学級に通う子供たちに加えて、LD(学習障害)やADHD(注意欠陥他動性障害)、高機能自閉症などの子供たちのための教育番組で、文部科学省の特別支援教育の考え方にも対応しています。番組の委員は、教員、LD学会の先生、大学教授、YMCAなど、現場で子供と接している方々の意見を参考にして作っています。楽しくわかりやすいスキットやアニメを使い、社会参加の技術(ソーシャル・スキル)、意思疎通のための技術(コミュニケーション・スキル)、文字や図形を認識するための技術(アカデミック・スキル)を身につけることができるように、短いコーナーで構成されたマガジンスタイルの番組です。
対象は特定の学年とはいえない難しさがありますから、使う漢字やアニメのキャラクターなどに注意をしています。番組は「一時停止をして見る」「紹介されたゲームを皆でやる」「繰り返して視聴する」「ホームページを見てせりふを読む」などいろいろな方法で視聴されているようです。
また番組と連動したホームページもあります。ここでは番組に出ていなかった漢字もありますし、先生方からリクエストの多かった巻物もプリントできます。番組のように時間が限られないため、子供が自分の進度に合わせて学習できるようにしています。3学期からは新しいキャラクターも登場し、スキルのいろいろな場面を増やしていく予定です。

2 実践報告  城戸幸一(佐賀県立中原養護学校)

実践報告をする城戸幸一教諭
本校は病弱の児童生徒を対象にした養護学校で、小学部と中学部の合わせて43人からなっています。昨年度の校内研究で、テーマ「軽度発達障害のある生徒への適切な配慮と有効な指導のあり方を求めて」のもと、研究目標に「アスペルガー症候群の生徒に対する適切な配慮と社会適応を促す自立活動の指導内容・方法を研究していく」としました。
どういう授業をしようか悩んでいたのですが、たまたまNHK教育番組に『みてハッスル☆きいてハッスル』があると聞いたので、番組やホームページを見ました。「生徒に、社会に適応する術を見に付けさせたい」、また「コミュニケーションやソーシャルのスキルを取り上げ、日常場面でも使えるようになって欲しい」と考えて番組を活用していくこととなりました。
コミュニケーションスキルの教材として8本の番組を使いました。生徒には、番組の忍者の失敗は自分の失敗ではないため、客観的に見て考えることができたようです。だんだん「ハッスル、ハッスルね」と呼ぶようになり、テレビを見ることに安心して取り組めるようになってきました。内容は、ワークシートと学習のまとめで表しました。番組で紹介しているゲーム的な内容は、楽しみながら勉強できたようでした。ホームページを参考にしたり、自分たちで工夫したりしたものもありました。
授業を行っての考察として、テレビの中の失敗を見ると、ふだんの生活ではどうなのか落ち着いて反省することができました。今後の課題としては、スキル学習の断続、スキルの内容と方法の充実、家庭との連携、専門家との連携などが必要と思います。

3 デジタル放送時代の番組活用  棟方哲弥(国立特殊教育総合研究所総括主任研究官)
デジタル番組の紹介をしたいと思います。現在NHKでは小・中学校などを対象として45の番組があります。さらにWEBでも番組に関連した40のホームページが作られています。高校等を含めると、もっと多くなると思います。利用できる番組がないというより、たくさんの番組やWebが作られ、さばきききれないくらいの情報が隠れているといえます。デジタル教材というCDがあるので、ぜひ見ていただきたい。そして番組も見ていただきたい。そこで初めて土俵に乗り、さあどうしようと始まるのではないでしょうか。
『みてハッスル☆きいてハッスル』の番組をなぜここで取り上げるか、養護学校向けの番組ではないという疑問もありますが、実はこの番組は自立活動の内容に合わせるための対応を取っています。軽度発達障害の自立活動への対応は、文部科学省や研究所でもまだ考えているところです。その中には、これまで放送された内容に近いもの、番組の作られた理論に沿ったものが入ってくると考えます。養護学校の中の自立活動の時間に、番組を見て活用できるものがあると思います。
番組を自立活動の教材として活用し、コミュニケーションスキルとソーシャルスキルについて生徒にその意味や必要性を考えさせたり、練習したりする学習として設定しました。
近年、LDへの理解は進んできていますが、その具体的な支援指導は難しいことも多く、学校現場でも模索されているのが現状かと思います。


2日目(10月29日)
テーマ 特別支援教室(仮称)を担当する先生のための“放送・デジタルメディア活用”の到達点

1 本校で取り組む放送教育・メディアの活用・実践について  吉田文男(岩手県立気仙養護学校)

実践を発表する吉田文男教諭
気仙養護学校は岩手県南部の大船渡市にあり、「福祉の里」と呼ばれる福祉施設が集まる地域の中にある知的障害養護学校です。
校内ではここ数年、情報機器を活用したさまざまなメディア教育が行われています。従来の放送やビデオを利用した学習から、パソコンやインターネットを活用した学習へと学習スタイルが変わってきています。そこで研究のテーマとして、「より良いメディアとの関わりが持てるようにするには、どうあればよいか」を設定しました。
使っている番組は『体験!メディアのABC』『しらべてまとめて伝えよう~メディア入門~』『しらべてゴー!』『ストレッチマン』『からだであそぼ』『にほんごであそぼ』などです。PCソフトやインターネットの活用例では、ワープロの利用、教科ソフトの利用、インターネットを利用した題材収集などがあります。
高等部では、『体験!メディアのABC』を視聴し、校外学習の見学先についてまとめ、学部集会で発表を行いました。また、『しらべてまとめて伝えよう~メディア入門~』では、デジタルカメラの使い方を学び、修学旅行の画像と感想をまとめました。
このような学習を通じて、生徒達はデジタルカメラやパソコンなどのツールを活用しながら、「情報活用の実践力」や「自ら調べ考える力」が育ったと思います。NHKのデジタル教材を活用した授業では、インターネット回線の高速化により、放送時間に左右されずに番組を視聴でき、クリップによりポイントを絞って繰り返し視聴できます。このことは生徒の理解につながり、主体的な発表活動になっていきました。

2 まとめ  棟方哲弥(国立特殊教育総合研究所総括主任研究官)

教育テレビ開始から放送されてきた障害児向け番組について解説する棟方哲弥・国立特殊教育総合研究所総括主任研究官
『みてハッスル☆きいてハッスル』について番組の解説や実践例が発表されました。この番組は、いわゆる軽度発達障害を対象にした番組ですが、通常の学級で見てもよいだろうと思います。それは、通常学級の中にも、軽度発達障害と重なっているお子さんがいると想像されるからです。2002年に4100人ほどの公立の小・中学校に在籍するお子さんを対象に文部科学省が調査しました。学習面や行動面での項目をあげ、それぞれの項目の必要数にチェックがついた人数、その結果の数字が6.3%です。この数字は、軽度発達障害の子が6.3%いるという意味ではありません。軽度発達障害ふうなお子さんは、この数字に表れていません。チェック項目の中でいくつかは該当するものの、調査にあげた項目数に足らなければ、計算されていないわけです。そこで『みてハッスル☆きいてハッスル』を通常学級で見ることによって、軽度発達障害といわれていない他のお子さんにも、よい影響があるのではないかと思います。
これからの特別支援教育の方向性として、「特別支援教室」のようなものが、中教審の中で考えられています。クラスの担任の先生と支援教室の先生とで、いくつかの指導のタイプが考えられます。支援学級の先生が個別に指導する、クラスに入って担任の先生と一緒に指導する、放課後の時間を利用するなど、いくつかのパターンが考えられます。
調査をしてみると、特殊学級があり、そこに軽度発達障害のお子さんが入り一緒に授業を受けるパターンがあります。実際には教育課程が一緒ではないのですが、活動として偶然一緒に行われることもあり、これは調査の中で一番多かったケースです。情緒障害学級や知的障害学級で4時間から5時間、週に行われているようです。このような場面では、番組が使いやすいケースかもしれません。
これからの支援教室の柔軟運用と、自立活動の項目が詳しくなると、しっかりとした方向性を持って番組を授業の中に使っていけるようになるのではないかと思います。

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