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放送教育ネットワーク

ネットワーク通信


2011年11月10日(木)

「生きる力」を培う放送学習プロジェクト

~放送番組の活用を通して、21世紀型学力を培う「活用型・探究型」の学習の在り方を探る~

全放連研究プロジェクト副委員長 片岡 義順(川崎市立下布田小学校)

全放連は、この10年余り、教育課題やメディア環境の変化に対応した放送教育研究を深めてきました。昨年までの「放送学習による人間力育成プロジェクト」に引き続き、本年度から3年間の計画で「生きる力を培う放送学習」をテーマに、新たな研究プロジェクトを立ち上げました。

研究1年目にあたる今年度は、前年度まで取り組んできた「人間力」の要素を活かしつつ、新指導要領や新しい学力観として求められている資質・能力を「21世紀型学力」の要素として体系づけ、どの放送番組でどんな学力をはぐくんでいくことができるのか、実践的に検証していきたいと考えます。放送番組の特性を充分に生かした「活用型・探究型」の授業を果敢に試み、その成果を分かりやすく発信することを通して、放送番組の教育的効果についての認識をさらに広めていけるよう努めたいと思います。

活用番組:「ふしぎがいっぱい(5年)」 第6回『魚が育つには』
単元名:動物のたんじょう(啓林館 5年 理科)

■単元目標

  • メダカを育てて雄雌の体の違いや受精卵の様子を観察し、発生の条件や過程をとらえるようにする。
  • 水中の小さな生物を観察して、これらの生物がメダカなどのえさになっていることをとらえ、生命は連続しているという考えをもつことができるようにするとともに、生命を尊重する態度を育てる。

■番組活用の意図

  • 児童の実態に応じた理科への探究心や好奇心を高める。
  • 番組の活用を通して、問題解決型の理科の学習スタイルの定着を図る。
  • 実験や観察の方法を番組視聴から知り、児童の活動に活用することができる。
  • 番組内の映像が生命の連続性について考えを深めるきっかけとすることができる。

■本時の流れ  6/9時間目

(1)番組視聴

(番組内容)番組の出演者がメダカの飼育を通して出てきた疑問について解決していく構成になっている。生まれたばかりのメダカの特徴や川の中のメダカの食性について映像を通して理解できる構成になっている。

(2)番組の感想を交流する。
  • 川の中のメダカが生きている物を食べていることを、番組を見て初めて知った。
  • メダカの赤ちゃんはおなかに養分を持っていて、大人のメダカは持っていないことが分かった。
  • ふだんの与えているえさには、小さい生物が入っているのかどうか疑問に思った。
  • メダカより小さい生物は何を食べているのか?
(3)問題を設定する。

感想交流の中から、学校の敷地内を流れている用水路でも同じことが言えるのかという疑問が出た。そこで、実際の採取と観察を通して解決することを、本時の問題に設定した。

(4)観察・まとめ

実際に用水路から水生生物を採集し、簡易顕微鏡で観察した。見つけた水生生物はスケッチをして発表した。

■評価

☆池や川などの水中の小さな生物に興味を持ち調べようとする。(自然事象についての関心・意欲・態度)

■成果と課題

本クラスには、普段から自然(本単元では特に川)に興味を持っていてかかわりが深い児童がいる一方で、全く関心のない児童も多数いる。「ふしぎがいっぱい」は、そうした関心のない児童に対しても、興味・関心を高めさせてくれていた。クラスの児童を共通の土台にのせて、学習を進めることができた。

今年度から放送されている「ふしぎがいっぱい」は視聴した児童に疑問を持たせるような構成になっている。視聴することで児童の中から問題が生まれ、それを解決していくという「問題解決型」の授業展開が作りやすくなっている。本単元でも、問題解決型学習を通してすべての児童が自然に親しむことができた(つまり、理科の教科としてのめあてを達成できた)ことは成果と言える。また、番組内で水生生物が紹介されたり、番組内の出演者が観察のモデルとして登場したりする場面も、児童が生き物を探す活動や観察の仕方についての理解を深める部分でも有効であった。

番組の活用が児童の疑問や思考を生かした活動へと導いてくれていた。これからも放送番組の活用を通した問題解決型の授業や探究型の授業の在り方について研究を重ねていきたい。

この記事は、日本視聴覚教育協会発行の月刊「視聴覚教育」11月号にも掲載されています。
日本視聴覚教育協会ホームページ(放送教育ネットワークのページを離れます)

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