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放送教育ネットワーク

ネットワーク通信


2013年3月30日(土)

平成24年度視聴覚教育・情報教育功労者 鈴木衆先生にインタビュー

今年度最後のネットワーク通信は特別号です。平成24年度視聴覚教育・情報教育功労者として、文部科学大臣表彰を受賞されました鈴木衆先生(現目黒区立緑ヶ丘小学校教諭・全放連講師)にお話を聞きました。

——先生が放送教育を始められたきっかけを教えてください。

放送番組との出会いは、30年以上前、当時大田区の視聴覚研究会で一緒に研究を行っていた鈴木勢津子先生(故人)に夏季研修会での記録を頼まれたことからかと記憶しています。それまでも、学校放送番組は授業で活用はしていましたが、子どもに見せっぱなしだったり、知識を得ることを主とした使い方だったりで、今思うと課題の多いものでした。研修会の仕事は、当時の全放連理事長でいらっしゃった天城勲先生(故人)の講演を記録し文章に起こすものでした。天城先生のお話はたいへん難解な部分も多かったのですが、記録とテープに録音したものを基に、自分なりに一生懸命記録を起こしました。こうしたことから、放送教育の意味が少しずつわかるようになり、その考え方が自分が大切にしたいと思っていた教育観と合致することが多いことに気付いた次第です。さらにこの時期、大田区の視聴覚研究会が主催する夏季研究会に参加した折、蛯谷米司先生(故人・当時広島大学教授)や井口尚之先生(故人・当時全小理会長)の講演をお聞きしたりご指導を受けたりする中で、放送教育の理論的な内容に触れ、その考え方の深さにますます興味と関心が高まったものでした。

——放送教育の魅力とは何でしょうか。

放送教育の魅力はたくさんありますが、子どもたちが本当に楽しみながら主体的に学ぶことができる数少ない「教材・学習材」であるということかと思います。子どもたちは放送番組を活用した学習が大好きです。楽しく学んで、いろいろな力が身に付く放送教育は本当に魅力的です。人間は感性的に捉えたことを基に、自分がもっている知識や経験などと比較しながら思考します。その結果、興味・関心を高めることで確かめたい、わかりたい等の意欲を高め、自発的な行動につなげていきます。放送には、こうした自主的、自発的な学びを探究的に進めていく力を培う力があるのです。

放送番組を視聴した子どもたちは、自分の思いや考えを自由に伝えようとします。そうした、多様な思いを学習のねらいに沿って束ねていくこともあれば、多様さを一つの考え方の基として、許容していくこともあります。そうした教科と学習のねらいを考えながら、現在進行形で進んでいく学習の中で、適切に判断し番組と子どもを大切にした学習を構成していく力が教師には求められています。これは決して易しいことではありませんが、こうした取り組みを繰り返し行うことで、教師力が伸長します。つまり、放送教育の魅力の一つは教師を育てる力があるということです。

放送番組理解は能力差をあまり問いません。映像の力は、言語理解に課題をもっている子どもに対しても平等にわかりやすく情報を伝えてくれます。放送教育が、子どもたちに広く受け入れられるのはこうしたことが大きな理由になっていると思います。こうしたことも、放送教育の大きな魅力と考えます。

——これまで放送教育研究に取り組まれてきて、印象に残っている授業を教えてください。

たくさんの授業を見てきましたが、全て放送教育の研究として意味のあるものでした。その中でも、放送番組を丸ごと使い、放送番組をスタートラインに思考させる授業がすてきだと思います。そういう意味では、埼玉の鶴田裕子先生(現さいたま市立仲町小学校教諭)、大室健司先生(現さいたま市立本太小学校教諭)の授業は、一人一人の子どもが大切にされた授業でした。どちらの先生の授業にも、放送番組を視聴した経験を柱に、子どもが自ら学び合っていく姿が見られました。

自分が取り組んできた授業では、退職前に人間力育成プロジェクト研究として公開した「カラフル!」と「見える歴史」の授業です。さらに、理科や道徳を中心にこれまでたくさんの授業を公開してきましたが、やはり「みんな生きている」を活用した授業ではいつも子どもたちと一緒に涙を流しながら視聴し、番組に思いを寄せて考えを深めたものでした。特に、命にかかわる番組では、子どもたちの深い共感が学びを深めてくれました。

——現在は全放連講師として後進の育成に力を注がれていますが、若い先生方にメッセージをお願いします。

教育現場の厳しさは日に日に増してきていると思います。こんな中、前を向いて教師を続けられる力は子どもたちからもらうしかありません。子どもと笑顔の関係をつくるためには、子どもにわかる授業をすることしかありません。授業以外でも子どもを理解し、思いを大切にすることは当たり前ですが、授業で信頼を得ないと本当の意味の確かな関係はできないと思って今日までやってきました。これからもたくさんの放送学習に取り組み、わかる楽しい授業を行ってください。

教師に必要な資質のひとつに「感性的行動力」があると常々思っています。この感性的行動力は放送教育を進める教師には特に大切です。子どもの行動や発言の本質を心で感じ、適切に対応できるようにすることが大切です。教師は感性を磨きましょう。大切なのは子どもを「人」として大切にできる感性です。そして、自分自身の価値観です。そうすれば対応や指導にぶれはありません。

教師になりたいと思い、ここまで歩んできた道を時々思い起こしてください。人は、原点に戻ることで、未来を見つめることができます。

鈴木先生、ありがとうございました。
かつて鈴木先生の授業を見学したことがありますが、子どもたちに向ける目がとても温かく、一人一人の発言を大切にしながら学習のねらいにせまっていく授業展開はすばらしいものでした。
現在も放送教育についてさまざまなアドバイスをいただいていますが、少しでも多くのことを学ばせていただきたいと思います。

(全放連事務局スタッフ)

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