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放送教育ネットワーク

ネットワーク通信


2015年10月9日(金)

~放送教育の魅力~
とにかく放送教育は楽しかった

元愛知県視聴覚教育連絡協議会副会長 小久保 敏夫

あっという間の教職37年間、いろいろなメディアに触れ、必要に応じて活用してきた。教育放送、映画、OHP、スチルカメラ、…NHKコンテンツ、電子黒板にタブレット端末。その多くが、教師や学習者が自分の思いをわかりやすく伝え、ディスカッションするためのメディアであった。だが、教育放送はICTメディアとはまた違っていた。そして楽しかった。

 

■継続することで番組と一体化

職員打合せが長引き、遅れて教室へ。でも、ふだんはチャイムが鳴っても騒がしいのに、テレビの時間には全員着席。そしてテーマ音楽を歌って待っている。
 子どもたちにとって、テレビの中の教室はもう一つの自分たちの教室であり、番組児童みんなが友だちだ。もちろん名前も呼び捨て。学級活動の話し合いの中にも、番組児童の名前や行動・意見が飛び出してくる。
 子どもたちは番組児童たちと心の中で対話しながら、考え行動している。そして道徳的価値を振り返り身につけていった。

 

■心を揺さぶる

「チョーさん」といえば、『たんけんぼくのまち』。『たんけんぼくのまち』といえば、「チョーさん」だ。とにかく楽しかった。子どもたちはチョーさんの真似をした。「チョーさん」のように…。「チョーさん」はこうしてたじゃん。…そしてその結果として学習が成立していった。
 チョーさんに会いたい思いで番組の町・諏訪市や清水市に夏休みに子どもたちは出かけていった。もちろん私も出かけていった。わが町豊橋を探検し、そのまとめをNHKに送った。学期末、番組に自分たちで作った模造紙が映り、校名がテロップされると、大歓声。番組資料やサインをいただき、チョーさんが送ってくれたと喜んだ。そして2学期、3学期と学習はパワーアップしていった。子どもたちの心には、「チョーさんに教えてあげる」、「チョーさんの学びに負けたくない」、「チョ ーさんに認めてもらいたい」など個の思いには違いがあるものの、「チョーさん、チョーさん」なのだ。

 

■生き方を問い詰める

3年い組は、働き疲れて役割を終えた盲導犬が戻っていく老犬ホームの番組を視聴した。盲導犬の老犬ホームを扱った番組を視聴させた教師は、盲導犬について深く追求させ、視覚障害者なりきり体験をも経験させ、調べ学習にと子どもたちを追い込んでいった。
 校区にある視覚障害者が集う点字図書館の存在に気づいた子、白杖を操作し歩く視覚障害者を見つめ、誘導タイルの意味をはじめて知った子、駅前の道路上に散逸する自転車を問題視し始めた子。子どもたちの想いはさまざまな方向へと発展していった。
 R子は視覚障害者の生活の支えになる盲導犬が少ないことに強い問題意識を持った。動物好きであったR子は番組視聴後、両親が経営する喫茶店に盲導犬育成の募金ポスターを貼りだした。さらに、町内会各戸を母親と訪ね、盲導犬の必要性を訴え、手作りの品を配って募金を呼びかけた。今から20年も前のことである。そして年を経るたびに、想いはふくらんでいる。そして、今も盲導犬基金づくりのため、募金運動を続けている。R子にとって、この番組との出会いは、一生に関わるものとなった。

 

■教師の番組に向き合う姿勢の中で子どもが育つ

黒板前の教卓の場所が、通常の私の視聴位置だ。そこは子どもから教師の姿を無理なく確認できる位置である。
 6年道徳番組視聴中、私は思い極まり涙ぐんでしまった。子どもたちの視線が教卓の私の横顔を伺う。「先生も私と同じ、泣いてる」 そしてより番組の中にのめり込んでいく。番組視聴中、思いが高まった子どもは、必ずといっていいほど、教師の顔をちらっと観る。
 教師がその番組に向かい合う姿勢の中で子どもたちは成長していく。教師が、番組ディレクターの思いを自らの教育計画の中に位置づけた時、教育番組はその本来の輝きを放ち始める。
 映画やクリップ、パソコンソフトウェアなどは、一授業時間内の指導目標に位置づけて活用しやすい教材だ。しかし、教育放送は、子どもの思考が個の経験と結びつき、さまざまな方向へと拡散する。それ故、柔軟な授業展開が必要となり、教師の多様な指導経験に基づく複線型授業案が常に必要となる。 教師主導型の授業になりがちな中で、教育放送を取り入れた授業は子どもの思いに沿った授業展開となってくる。教育放送は使いにくいと指摘する教師の考えの基点はここにある。映画は単元のまとめとして活用したが、学習の導入には放送だ。

 

この記事は、日本視聴覚教育協会発行の月刊「視聴覚教育」10月号にも掲載されています。
日本視聴覚教育協会ホームページ(放送教育ネットワークのページを離れます)

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