学校放送・ICT活用! 先生応援サイト

放送教育ネットワーク

ネットワーク通信


2016年12月13日(火)

平成28年度
関東甲信越放送・視聴覚教育研究大会(山梨大会)報告

全放連事務局 川上 靖雄(東京都立桜町高等学校教諭)

しんと冴える秋の空気に、山々の稜線がくっきりと描き出されるような10月28日、第66回関東甲信越放送教育研究大会・第63回関東甲信越学校視聴覚教育研究大会が、山梨県甲府市で開催されました。大会テーマは「一人一人のよさや可能性を伸ばし生きる力を育む放送・視聴覚教育の推進」、午前は幼・小・中・高の分科会に分かれて各会場で公開授業・課題研究会が、午後は開会行事および記念講演が甲府市総合市民会館で行われました。中でも小・中の2分科会はそれぞれ2会場で公開授業、課題研究会を各会場2テーマ、つまり合計で8テーマも行う充実ぶり。まずはこの大会にかける、山梨県のその意気込みに驚かされました。

 

 私は高等学校部会に参加しました。高等学校部会では、3テーマの課題研究会が行われました。
 ①タブレットと大型テレビで授業力アップ
 ②美術「アニメーションの世界」NHK for School『メディアのめ』を利用した授業実践
 ③著作物の利用における引用の指導について

私が特に関心を持ったのは②の美術の実践報告です。私は今まで高等学校の教育研究大会にもいくつか参加してきましたが、美術の授業実践発表はほとんど拝見したことがありませんでした。加えて、放送番組(『メディアのめ』)を利用していること、手描きのアニメーションを題材としていることも興味をひかれた理由です。
 この実践報告をされた鈴木敦子先生(茨城県立牛久栄進高等学校)は、前任の工業高校でこの授業を始められたそうです。
 職業科の中の一般科目、PCが使えない環境、などの困難があり、その中で、それでも美術に関心を持ってもらいたい、との思いがあって始められたと仰っていました。生徒たちもアニメーションに対する関心はあるものの、「なぜ絵が動いて見えるのか」などの知識が薄く、そのため、アニメーションの原理をわかりやすく説明している『メディアのめ』のアニメーションの回を教材として利用されたということです。2コマの簡単なアニメーションからスタートし、ゾートロープ(回転のぞき絵・円筒部分を回転させると中に描かれた絵が動いて見える仕組み)の製作、始点と終点を同じ絵にすることで生徒の作品をすべてつなぎ、1つの作品に仕立てられるようにするなど、テレビアニメではなく、アートの一分野としてのアニメーションを知り、実際に体験できる授業をされていることに、ひたすら感心しました(余談ながら、アートの1ジャンルとしての「アニメーション」が存在していることはあまり広くは知られていないようなので……)。
 発表ののち、私は「メディアリテラシー教育」への展開は考えていないか、と質問をしました。残念ながら美術の指導要領がまだそこまで踏み込めていないので、それは考えていないとのことでした。ただ、各作品をどの順番でつなぐかを生徒たちに考えさせるなど、ちょっとした工夫でメディアリテラシー授業への展開ができるという認識は持たれているようでした。アニメーションを「つくってみる」という体験的学習を機に、動画の原理への理解だけでなく、現在自分たちが享受しているメディアやコンテンツに対する理解が深められ、ひいてはそれらを“批判的に”受け止められるようになれば、教科・科目の枠を越え、それこそ「総合的に」学習が深まることが期待できます。
 2020年の「高大接続改革」に向けてさまざまな動きがありますが、授業のあり方を大きく変えるよう求められはしても、大半の高校では、何をどのようにすればよいのか、手がかりを求めてまだまだ模索が続いているのが実情かと思われます。
 しかし、たとえば「メディアリテラシー」というテーマについて各教科科目で連携、各々の授業で各々の側面から掘り下げて学習していく、というのも1つの解ではないか、とそんなことまで考えさせられる授業実践でした。
 他のテーマも聞き応えがあり、タブレット端末と大型テレビがあれば、少しの手間で生徒の興味を大きく引ける授業ができる、という①の実践報告も、③の高等学校で求められるプレゼンテーション制作の際に問題となる著作権処理についての実践報告も、具体的で参考になる事柄の多い内容でした。

 午後には、『デジタル時代の学校教育とメディアを考える』と題し、宇治橋祐之氏(NHK放送文化研究所主任研究員)による講演が行われました。
 小中学校のメディア利用の現状と、これからの子どもたちに必要な力をふまえたうえで、放送番組・NHK for Schoolを用いたアクティブ・ラーニングについて、具体的な番組活用例を豊富に交え、わかりやすく解説・提言をいただきました。
 
 得るものが多々あったこの大会、いただいたものをしっかり授業に反映させていきたいと思います。

 

この記事は、日本視聴覚教育協会発行の月刊「視聴覚教育」12月号にも掲載されています。
日本視聴覚教育協会ホームページ(放送教育ネットワークのページを離れます)

このページでは、全国放送教育
研究会連盟とNHKサービスセンターの取り組みや関連情報をご紹介します。
平成29年度
平成28年度
平成27年度
平成26年度
平成25年度
平成24年度
平成23年度
ページトップへ